ガサガサ探検隊in飛騨高山

ガサガサ探検隊in飛騨高山

 

「今は田舎の子ほど外で遊ばないんだって」 、地元高山市の中学校で講演をしてきたDAGくんから、そんな話しを聞いたのは昨年のことだったと思う。その時は、「そういうもんか」ぐらいの軽い世間話で終わったのだが、なんだかその言葉が頭の片隅にぽつんと残った。よくよく考えてみたら街中で生まれ育ったならまだしも、幼い頃からずっと森や川に囲まれて生活していればそれはただ目の前にある日常で、むしろずっと変わり映えのしない退屈な景色に映るのかもしれない。だとすれば、田舎の子供ちたは毎日山を駆け回ったり、川で泳いだりしてる、なんてのはこちら側の勝手な押し付けで、そうした環境で生まれ育った子供たちほど実は自然の中で遊ばなくなるっていうのもどこか納得できる。皮肉な話しではあるけど。


そもそも僕たちBYWUが岐阜県・飛騨高山エリアに初めて行ったのは昨年の5月。DAIWAの連載企画でDAGくんと韻シストBANDのtakuさんを誘っての釣り旅撮影(記事はこちらから)だったのだが、今振り返ってもあの双六川の澄んだ水に浸かり、大自然に包まれながらの釣り時間は特別な体験だった。

 

 

そんな素敵な場所がたくさんある飛騨高山地方で、地元の人たちと一緒に楽しめる機会を作れないか。DAGくんが長年ずっと抱えてきた地元に対する想いやアイデアをベースにしつつ、高山市の関係者やDAIWAさんとも彼が中心となりながら協議を重ねた結果、市内の商店街が主催する夏祭りに合わせて、そのすぐ横を流れる宮川を舞台に川遊びイベントを企画することになった。主役はもちろん地元の子供たち。毎年後を絶たない川の水難事故だが、着用していればその9割近くを防げると言われるライフジャケットの認知拡大・普及をテーマにしつつ、あまり堅苦しくなりすぎないように、あくまでも川遊びの延長でその大切さも実感してもらう内容を目指すことになった。


開催に向けて、強力な助っ人の参加も決まった。”ガサガサ”という川遊びをライフワークに30年以上子供たちの自然体験や環境教育活動を続けてきた、映画「釣りバカ日誌」のハチ役でお馴染みの俳優・中本賢さんが、イベント主旨に賛同してこの企画にJOINしてくれることになったのだ。せっかくならと、みんなで川に入ってガサガサで捕まえた水生生物を水槽に集めて、観察しながら自由に絵を描くまでをひとつの流れとして企画した。題して”ガサガサ探検隊in飛騨高山 & 宮川水族館”。そこからは話しがとんとん拍子で進み、高山市役所、宮川漁協協同組合、商店街組合、近隣小学校などなど関係各所との連携・調整をしているうちに、あっという間にイベント当日が訪れた。

 

 

直前まで危ぶまれた天候も、蓋を開けてみればすっかり快晴。事前応募形式で集まったおよそ25名の子供たちは、まず夏祭り会場となる商店街に設けたブースにてライフジャケットの装着方法を学び、その後みんなで日ごろなかなか入ることができない宮川へin。ガサガサ探検隊隊長の中本さん、副隊長のDAGくんらのレクチャーのもと、まずは子ども全員が首まで川に浸かりライフジャケットの浮力を実体験。川の流れに身を任せて、早い流れとなる流心の怖さと安全に緩い流れへとコントロールする楽しさを知ることからスタート。そしていよいよ川底や水際の草むらなどに狙いを定めて、タモ網を川下に仕掛けて川上から足で荒らすように追い込んでいくと、思いの外たくさんの昆虫や小魚がタモ網に入り
そこら中で「見て見て!」「すげー!!」と歓声が上がるほど大盛り上がり。それを眺める周囲の大人たちも思わずにっこり。

 

「いったん川の中に入っちまえば、水の冷たさや川の流れ、川底を歩く感触を五感で感じられるだろ? そんな経験が数十年後、いったん地元を離れたとしてもふとした瞬間に故郷を思い出すスイッチになるんだよ。小さい頃にそういう経験をしとくと、年齢を重ねてもいつかまたあの故郷に戻りたいって自然に思えるもんだ」。イベントの開催3週間前に、下見として現地を一緒に訪れてくれた中本さんの言葉がふと頭に蘇った。



 

都会に人が集中して地域では過疎化が進む。時代の流れはあれど、幼少期に体験した何気ない一瞬が、生まれた場所と自分を繋ぎ続けてくれる。釣りを含めた自然体験の中には、実はそんな魅了もあることを今回のことで改めて発見できた気がする。撮影で訪れた縁をきっかけに、見知らぬ土地で様々な人と出会い、少しずつ交流を重ねながら、こうしてひとつの催しができたことは自分たちにとっても貴重な経験になったし、よき学びにもなった。また、人を魅了し自然や生きものから知的好奇心を育むと言われる自然体験だが、その底力を実感する良い機会にもなった。

地方創生とか地域貢献とかそんな仰々しいことを謳うつもりはなく、ただ自分たちが夢中になっている釣りというレジャースポーツを通して、その延長線で生まれたことで誰かが喜んでくれたり、新しい発見ができたり。そんな機会作りを今後もひとつずつ形にしていけたらいいと思っている。やっぱり釣りの魅力は釣果だけじゃないのだ。

 

最後に、このイベントは本当にたくさんの方と協力して実現できました。とりわけ「株式会社まちづくり飛騨高山」の大林さん、地元でおよそ50年近く続く「ぽころこアートスクール」のIPPEIさん、企画実現に向けて全面バックアップしてくれたDAIWAさん、そして地元関係者との調整を一手に引き受け奔走してくれたDAGくん、誠にありがとうございました! 来年もまたやりましょう!

 

 photo:Riki Yamada

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